四次元の仮説

#ショートショート
#ネタ

暇な夜、ぼんやり歩きながら、ふと「もしも意識そのものが〈四つ目の次元〉だったら?」と考えました。
ほんの思いつきですが、転がすうちに一つの仮説になったので書き留めておきます。

意識は四次元、世界は三次元

まず前提。
私たちが触れている空間は三次元でできている。でも、その外側にもう一枚、意識の次元が広がっているのではないか。意識は物でも光でもない独立した領域で、そこに生き物それぞれが自分専用の蓋で閉じた意識空間を持っている。という考えだ。
例えば、同じリンゴを見ても、人によって感じ方がズレる。リンゴそのものが違うわけではなく、「私の世界」と「あなたの世界」が重ならないせいで映り方が変わるのだ。

意識と意識をつなぐ「有蓋電波」

生き物は生まれつき、意識と意識を結ぶ細い糸を持っていると仮定してみる。私はこれを有蓋電波と呼んだ。有蓋とは、つまり閉鎖された意識空間のことだ。開けないかぎり信号が届くことはない。そのため、私たちは他者を真の意味で理解することはない。
ただし、もしこの電波をインターネットみたいに広げられたらどうなるか。
頭にアンテナを立て、意識空間同士を接続させれば、互いの景色がリアルタイムで流れ込みはじめる。「自分」と「他人」の境が薄れ、やがてみんなで一つの意識の次元を共有する。そんな未来が想像できるのではなかろうか。

現実的な壁

もちろん突っ込み所は山ほどある。
意識を信号として抜き出す方法も、三次元の科学で四次元を測る手段も見つかっていない。理論は空想のまま、装置もプロトタイプすら無い。
それでも、私はこのアイデアをそれなりに評価している。
飛行機が空を飛んでから空気力学が整理されたように、アイデアは現実より先に走るものだ。

終わりに

この話を読み返すと、どこか怖い発想ですね。いつの日か「有蓋電波」をゲームに落とし込めたら面白いなーと思いながら、しばらく寝かせておきます。